2025/03/10
マイカー通勤者の通勤交通費はどう考えればいい?計算方法のあれこれ
マイカー通勤者の通勤交通費はどう考えればいい?計算方法のあれこれ

経理や人事の業務担当者はマイカー利用の通勤費の支給に関するルールや計算方法や非課税限度額についての理解をし、企業の支給ルールに基づいた支給基準を明確にし、従業員からマイカー通勤の希望が出た場合に迷わず対応できるようにしておくことが大切です。ここでは、マイカー通勤に対する通勤交通費について考えていきます。
<目次>
1. マイカー通勤手当の課税額・非課税限度額
2. マイカー通勤手当の計算方法
2_1. ガソリン単価・燃費等で算出
2_2. 距離ごとに一律金額(距離単価)で支給
2_3. その他の支給方法
2_4. 有料道路代や駐車場代
3. 社用車を利用する通勤の場合
4. マイカー通勤の場合に気を付けること
4_1. 通勤経路の正確性確認
4_2. 実績支給時の証跡の扱い
4_3. 手入力によるミス
4_4. 車両の保険加入の確認
5. まとめ:正確な計算で適切な通勤手当を
マイカー通勤手当の課税額・非課税限度額
マイカー通勤手当は、従業員が通勤時に車を使用する場合の通勤手当です。非課税限度額は公共交通機関の場合とは異なった枠組みとなっています。
マイカー通勤に対する通勤手当の非課税限度額は、通勤距離に基づいて設定されています。片道の通勤距離が2キロメートル未満の場合は通勤手当の全額が課税対象となりますが、2キロメートル以上の場合には距離に応じた非課税限度額が設定されます。通勤距離が長くなるにつれ、非課税限度額も増していきます。
車通勤における非課税限度額は以下の通りです。
国税庁 「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」より
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
片道の通勤距離 1ヶ月当たりの非課税限度額
2㎞未満 全額課税対象
2㎞以上10㎞未満 4,200円
10㎞以上15㎞未満 7,100円
15㎞以上25㎞未満 12,900円
25㎞以上35㎞未満 18,700円
35㎞以上45㎞未満 24,400円
45㎞以上55㎞未満 28,000円
55㎞以上 31,600円
公共交通機関の非課税額と同様に、上記の非課税限度額を超えた場合、超過した金額は従業員にかかる所得税の対象となります。企業と従業員双方が通勤手当の課税・非課税に関する適切な知識を持つことが大切です。
マイカー通勤手当の計算方法
マイカー通勤手当の計算方法は、通勤規定で定めておきます。
ガソリン単価を用いて計算を行う場合や、距離に応じた支給額を定めるなど、その計算式は企業それぞれの方針のもとで、従業員への公平性を保つよう決定していきます。
ガソリン単価・燃費等で算出
マイカー通勤手当額を算出する方法の一つに、ガソリン単価、通勤距離に応じて計算する方法があります。
勤務先までの距離と、月間の出勤日数、ガソリン単価で支給額を決定していきます。また、車の燃費性能を考慮して1リットルあたりの走行可能距離を計算式に含める場合もあります。
その場合は、通勤距離と燃費から必要なガソリンの量を割り出し、それにガソリン単価を掛けて、月毎の出勤日数に応じた通勤手当の金額を算出します。
また、車種によっては燃料の種類も異りますので、それぞれの燃料種類に応じた単価を使用することもあります。
計算式例としては次の通りです。
マイカー通勤手当額=(往復の通勤距離/燃費)×ガソリン単価×通勤日数 (1か月あたり)
燃費や燃料種類の単価を通勤手当を算出する計算式に反映することで、実際の車種や走行距離に基づいたよりきめ細やかなマイカー通勤手当の支給が可能となり、正確な通勤手当の支給に繋がります。
距離ごとに一律金額(距離単価)で支給
次に、距離単価を基にした通勤手当の計算方法についてです。
たとえば、片道距離の非課税限度額の上限額を、従業員の通勤距離に応じて支給する方法です。
この計算方法を用いると、非課税限度額の枠内で通勤手当を支給できるというメリットがあります。企業としては、マイカー通勤手当額が毎月一定額となり変動が最小限に抑えられるので、管理しやすいというメリットがあります。
その反面、従業員にとっては、実際のガソリン代を下回る場合もありますので、従業員へ不利益を与えてしまう可能性がでてくることは注意が必要です。
その他の支給方法
その他、実績のガソリン代を支給したり、距離に関係なくマイカー通勤に対しては一律の金額を支給する、といった支給方法もあります。これらの場合でも、通勤距離に応じた非課税限度額を超えた場合の対応については、考慮しておく必要があります。
また、公共交通機関と交通用具併用での通勤経路もありますが、この場合は、公共交通機関の非課税限度額上限額になりますので、留意が必要です。
有料道路代や駐車場代
通勤経路によっては、有料道路を利用するケースもあります。また、駐車場が会社で用意できない場合は、駐車場代も発生しますが、これらは通勤手当として、従業員へ支給対象とすることが可能です。
ただし、駐車場は全額課税の対象となります。有料道路は「最も経済的かつ合理的な経路および方法」であれば非課税となる場合もあります。
これらの点を考慮したうえで、通勤規定でそれぞれ利用の可否、通勤手当の支給の有無について、明文化しておきましょう。
社用車を利用する通勤の場合
社用車を使った通勤を認めているケースもあるでしょう。
法人名義の社用車の場合、その社用車を通勤に使用した場合でも、ガソリン代は経費の範疇として、通勤手当として取り扱わない場合があります。社用車は、個人の車両とは異なり、そのコストや税金の計算方法は十分に検討する必要があります。
コストの問題のほか、万が一の事故発生に備えた保険の備えや、私的利用禁止の徹底など、考慮すべき点が広範囲にわたることになり、ルールの明確化、周知徹底が大切になります。
マイカー通勤の場合に気を付けること
マイカー通勤の場合、通勤規定の基準に従った正確な情報で決定する必要があるため、通勤経路の正確性、申請の正確性、計算の正確性等、きめ細やかな確認処理が必要になります。
通勤経路の正確性確認
従業員から申請されるマイカー通勤ルートの確認作業は多くの手間がかかります。
マイカー通勤の場合は距離が通勤手当に影響してきますので、社員が会社の通勤規定に基づいた通勤経路の申請を正しく行っているかに加え、正しい距離を申請しているのか、しっかり確認する必要があります。
その際に、インターネット上の地図サービスを利用してルート確認を行う、といったことで手間がかかることもありますが、それでも正確な距離把握は難しく、判断に悩むこともあります。
実績支給時の証跡の扱い
ガソリン代を実費支給する場合は、領収書などの提出を求め証跡とすることが多いですが、これらの書類の管理のほか、従業員が領収書提出を忘れてしまい、数カ月経ってから申請があがってくる、といったケースも発生しやすく、業務が煩雑となる一因になる可能性があります。
手入力によるミス
手入力によるマイカー通勤手当額の計算は、ケアレスミスにつながることが多いです。
通勤交通費の計算を手作業で行うと、数字の打ち間違いなど入力ミスが発生しやすくなります。通勤手当の支給額が正しくないと、後に差額を計算して後追いで支給対応に迫られたりと、予期せぬカバー対応が発生する要因になります。
通勤管理システムを利用し通勤管理業務の自動化を進めることで、こうしたミスを減らすことが期待されます。
車両の保険加入の確認
通勤中に万が一事故にあった際の対応に考慮することが大切です。
マイカー通勤を行う前に、従業員が利用するマイカーへの自賠責保険、任意保険に確実に加入することを周知し、保険証書の写しを提出の義務とするといった対策をおこない万事に備えておきましょう。
まとめ:正確な計算で適切な通勤手当を
マイカー通勤を行う従業員への通勤手当支給は、通勤距離や使用燃料、ガソリン単価などを考慮したうえで、公平な金額を支給できるようにしていくことが求められます。
非課税限度額を超える通勤手当額の場合の扱いを含めて、慎重に考え、通勤規定を制定することが大切です。
また、正確な通勤手当の計算は、単に従業員の金銭的な負担を軽減するだけでなく、企業と従業員間の信頼性向上に繋がります。正しい知識と情報をもとにして、従業員、企業の双方にとってメリットのある制度を構築を目指しましょう。
通勤管理Arvoは、従業員の自宅から勤務先までの最適な車ルートを自動判断し、正確な通勤距離を算出します。また、ガソリン単価や他の燃料の管理、従業員が利用するマイカーの情報も管理できるので、マイカー通勤手当を正確に算出することが実現できます。
距離単価によるマイカー通勤手当の支給管理にも対応しており、通勤規定にあった柔軟な運用に対応いたします。
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